詳細解説
*マークのついた言葉は用語解説あり。
12・ここから本格的にデジタル仕上げに入る。
新規ファイル(グレースケールモード)にペン入れファイルを配置し、多重レイヤーの作業ファイルを作成。ホワイト修正*・ベタ塗り*・枠線引き*などもこの時に行う。作業ファイルとしてPhotoShop形式*で保存する。
その後この作業ファイルに選択範囲を切り、アルファチャンネル*に保存しながらグレートーンを塗ったり、別に作ってある画像をコピーペーストしたり、さまざまなテクニックを駆使して特殊効果をつけ加えていく。このあたりの事については次回からくわしく解説する。
最終的に完成した作業ファイルのレイヤー構造。
作業中はこれらに加え下書きレイヤーを乗算合成*して配置、トーンの影や特殊効果、フキダシの位置の目安とする。ミスを防ぐため下書きレイヤーは作業が終わったあと取り除く。
線画レイヤー以外のレイヤーは、絵柄によっては必ずしも必要ないので増減する。派手な特殊効果のある絵では数枚の効果レイヤーを重ねることもある。
線画レイヤーなどの主線のある絵や擬音・フキダシは、最後の状態までアンチエイリアス*のない2階調の状態であることに注意。もし、画像の変形などでアンチエイリアスが出てしまったら「イメージ」メニュー→「色調補正」→「2階調化」でアンチエイリアスをとる。
作業ファイルのレイヤーパレット。一番上の枠線レイヤーを非表示のまま残してあるのは、後々の修正作業の際にいろいろ役に立つからだ。
完成した作業ファイル。青く見えるラインはガイド線で、内枠の位置を示している。断ち切りの部分にも枠線が引かれてしまっているが、最後のレンダリング時にトリミングする。
グレーに塗りつぶされている部分は印刷所での製版の際に網点のトーンに変換される。僕は印刷所との打ち合わせの結果、雑誌印刷で出せるもっとも粗い線数*である65線で出力してもらうことにしている(コミックスのときは縮小を考慮して80線ぐらい)。これより粗い目のトーンが使いたいときは、PowerTone*を使う。
注意してほしいのは、グレースケールデータのまま入稿する方法は印刷所の設備やスキルに依存するところがあるので、うまくいかない可能性もあるということだ。僕の場合は連載前にモノクロ2階調化したデータも試してみたが、印刷所の都合でグレースケールの方がよいというのでこうなった。それぞれの印刷所とよく相談してほしい。
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13・レンダリング。
作業ファイルを複製してレイヤー統合し、TIFF形式*で保存。PhotoShopのバッチ機能で自動処理する。
(作業ファイルを)複製→レイヤー統合→トリミング→複製を保存(「アルファチャンネルを破棄」にチェック)→TIFF形式、圧縮オプションをオン→画像を保存しないで閉じる。
……という手順をあらかじめアクション*として記録しておき、「ファイル」メニュー→「自動処理」→「バッチ」を選択。ダイアログの「アクション」に前述のアクションを選択、ソースに作業ファイルの入ったフォルダを選択し、実行後に「フォルダに保存」完成原稿の入るべきフォルダを選択する。これで「OK」ボタンを押すと、一連の作業を自動処理してくれる。
僕のやり方における欠点としては、最終レンダリング時にトリミングが入るため、見開きページはあらかじめ作業フォルダから取り除いて手動で複製保存しなければならないところ。
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14・完成ファイルのリネーム。
フリーウェアやシェアウェアで出ているリネームソフトを使ってファイル名を一括変更する。やはり見開きページは例外扱いしなければならないので、「p02+03.tiff」というふうに手でつける。
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15・ミスがないか画像ブラウジングソフトでチェック後、完成ファイルをCD-ROMに焼き、編集部に入稿。
たまにリネームにミスってでたらめなページ名になっていることもあるので、ちゃんと順番になっているかどうかチェック。またフキダシや擬音の入れ忘れも多いのでそのへんに注意して見る。…しかし実際にはこの頃には徹夜でフラフラになっているのでチェックを省略してしまうこともたまにある。
写真下はインクジェットプリンターでオリジナルラベルをプリントしたCD-R。こんどから「まん○らけ」*で売られないように「転売不可」と書いておかねばなるまい。
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16・外部メディアにバックアップをとる。
銃夢LOになってからは一回にバックアップするデータ量が1ギガバイトを超えるようになったので、大容量と確実性を考慮してDVD-RAMを使うようになった。
4.7GBのメディアに3話分は余裕で入る。欠点は書き込み速度が遅いことか。